栄養面から透析患者の生活を支える取り組み

栄養面から透析患者の生活を支える取り組み

新保
透析センターでの栄養管理について教えていただけますか?
下口
もちろんです!よろしくお願いします。


透析患者の栄養管理は命に係わること

新保:下口さんは圏央所沢病院のMEになって4年目ですよね。

下口:はい。当院のME業務を一通り経験して、人工透析関連の業務もだいたいこなせるようになりました。今年度から、透析センター・栄養管理チームのリーダーを任されているのですが、栄養に関してはまだまだ勉強することがたくさんあるので緊張しています。

新保:下口さんが入職する前から栄養管理チームはあるそうですが、結成された経緯はご存じですか?

下口:院内には管理栄養士がいますが、透析センターが大きくなるにつれてマンパワーが不足気味に。そこで、日々透析患者さまに関わる管理栄養士以外のスタッフも「できることをしよう」ということになり、チームが結成されたと聞いています。

新保:そうですか。現在のチームメンバーの構成を教えてください。

下口:看護師が2人、MEが私を含めて5人という構成です。年度が始まる頃に活動の方針などを話し合い、透析患者さまの栄養管理を行っています。

指導ではなく、具体的なアドバイス

新保:栄養管理の対象となる患者さまは?

下口:透析を受けている患者さまは、毎月2回ほど血液検査を行っています。そのデータを見て、カリウムやリンの値などに問題がある場合は、患者さまに最近の食事内容などを伺っています。また、ドライウェイトの増減が大きい場合も、原因が食事にあるかどうかを探ります。そのほか、各患者さまに担当のスタッフがいて、問診の結果から栄養管理を依頼されることもあります。

新保:いくつかのアプローチがあるのですね。具体例も教えて下さい。

下口:「血液中のカリウムの値が高いので、この食材は食べないでください」など、あれもダメこれもダメと言うだけでは、透析患者さまには響きません。自炊する方には調理方法をどのように工夫すればよいかを伝えて、少しでも美味しい食事を楽しんでいただけるように心掛けています。外食が多い透析患者さまは濃い味付けに慣れているので、出汁やスパイスなどが効いている食事は満足感を得やすいなど、メニュー選びに役立つ情報をお伝えします。また、塩分を控えてほしい患者さまには「塩分を8グラム取ると1リットルの水が必要」などの具体的な数値を示してから、食事内容について話しあいます。


低栄養、摂取する水分量や服薬にも配慮

新保:以前、高齢者に食事制限しすぎると低栄養のリスクが高くなるという話を伺いました。

下口:はい。高齢の透析患者さまは、食が細い方も少なくないので、栄養が偏りがちです。同法人が運営している「介護老人保険施設 遊(ゆう)」や「有料老人ホーム 憩(いこい)」に入所・入居されている透析患者さまの場合は、施設の看護・介護担当者に栄養面の相談がしやすいですね。

例えば、透析食から一般食に変えてもらえないか、食事にヨーグルトや牛乳をプラスしてもらえないかなどの具体的な提案をして、実施してもらった結果、数値的に状況が改善したこともあります。そのほか、施設内では服用される薬や水分管理もされているので、安心できる面は大きいです。

新保:ご自宅にいらっしゃる高齢の透析患者さまはいかがでしょうか?

下口:特に認知症の透析患者さまの場合は、そのご家族とのコミュニケーションが不可欠です。栄養面だけでなく、水分や内服薬の管理について、ご家族の方と電話でお話しします。また、高齢の患者さまでなくても、お仕事の都合で1日3食とれず薬を飲みきれない方もいるので、1回あたりの服薬量を調整するケースもあります。

もっと『連携』を強めたい!

新保:なるほど。患者さまの入所・入居する施設のスタッフや、ご家族との連携も欠かせませんね。

下口:そうですね。しかし、現状で十分とは言えません。療養病棟に入院している透析患者さまであれば、電子カルテで患者さまの情報を共有できますが、院外の透析患者さまは、細かな情報が不足していることも。

「遊」や「憩」の透析患者さまの情報は、電話や連絡ノートなどである程度わかるのですが、食事内容の詳細や、排泄やリハビリに関する情報までは把握できていないこともあります。そういった情報も栄養管理で参考になりますので、同法人の施設スタッフとの情報共有をより密にしていきたいと考えています。

また、透析患者さまの栄養を管理するためには、ご本人だけでなく、そのご家族との信頼関係も必要です。日常的なコミュニケーションはもちろんのこと、栄養に関する知識をもっと知っていただく機会を作れるように、今後もチーム一丸となって取り組んでいきます。

RECRUIT

  • やりたいことがそこにある。
    なりたい自分がそこにいる。

  • 5年後の自分を、10年後の自分を想像できるか?
    今やるべきことを、しっかりと、一歩づつ。

  • 稼ぐためにではなく、
    学ぶために働く。

  • 欠点に目を背けるか、
    弱点を「強み」に変えるのか。

  • 失敗しない道を選ぶのか、
    失敗から何かを学べるか。