モチベーションがアップする「遊」のリハビリ
透析患者の特徴にも考慮したリハビリ
新保:現在「遊」に透析患者さまは入所していますか?
齋藤:はい。5人ほどの入所者さまが、圏央所沢病院の透析センターに通っています。
新保:「遊」の入所施設では、お一人おひとりの個性や生活リズムに合わせたリハビリを実施していると思うのですが、透析患者さま特有の問題はありますか?
齋藤:透析を受けている方は、ひざ・ひじ・肩などの関節にしびれや痛み、変形が出やすいので、そういったところに注意しています。ひざに痛みが出てきた透析患者さまの場合、歩行練習から起立練習に切り替えて過負荷にならないようにするなどの対応をしますね。
新保:透析患者さまに、おすすめするリハビリはありますか?
齋藤:血行が良くなるトレーニングを積極的に取り入れています。そのため、エルゴメーター(自転車ペダルを回転させる固定式のトレーニング機器)を使う足中心の運動や、プーリー(滑車を用いたトレーニング機器)を活用する腕中心の運動などがおすすめです。
できるだけ目標を定めてトレーニング
新保:なるほど。老健の入所施設では、在宅復帰を目指すリハビリを提供していると思うのですが、各入所者さまに対して、目標などを定めているのですか?
齋藤:そうですね。例えば、ご自宅から入所されて間もない方は、利便性の高い施設だと1日の活動量が減ってしまう傾向にあります。そのような場合は、できるだけリハビリで活動量を減らさないようにしています。
新保:透析を受けている入所者さまが、在宅復帰されたことはありますか?
齋藤:車いすを使用して一人暮らししている透析患者さまが、在宅復帰されました。ご自宅で何度か転倒してしまい、こちらに入所することになったのですが、ご自身でトイレや入浴ができるようになれば、家に帰れるという方でしたね。当施設のスタッフで話し合い、看護・介護・リハビリ内容を工夫した結果、帰宅できることになりました。
新保:それは何よりですね。
入浴やイベントもリハビリの一環に
新保:「遊」のお風呂では温泉を楽しむことができますが、リハビリ担当者として入所者さまの入浴に関わりますか?
齋藤:はい。介助があればご自身で入浴できる方には、できるだけリフト装置を使用しないで温泉に浸かっていただきたいと考えています。そこで、入浴のための動作をリハビリの一環として捉え、リハビリ担当者も付き添い、浴室内外での歩行や段差の上り下りをトレーニング的に行ってもらうこともあります。
新保:さまざまなイベントも催されますよね。それもリハビリにつながりますか?
齋藤:もちろんです。コロナ禍以降、室内で開催するようになった「イチゴ狩りイベント」では、イチゴ畑に見立てて装飾されたネットにイチゴを吊り下げ、入所者さまにもぎ取っていただきます。その動作は腕を使うリハビリになり、その会場への移動も歩行練習につなげることができます。
日々の生活の中に、楽しめる活動を
新保:入浴やイベントという目的があると、入所者さまのモチベーションもアップしそうですね。
齋藤:その通りです。イベントの後は感想などをお話ししていただけるので、普段よりも会話が弾みます。また日常的に行っている、4つの部屋を回って異なるシールを集めカレンダーに張る、ゲーム的なアクティビティも好評です。成果が目に見える活動は達成感が得られるので、今後もどんどん取り入れて行きたいですね。
新保:特に透析患者さまは、週に3回各4時間ほどの透析を受け、食事にも制限があるのでストレスを感じていると思います。そんな皆さまが、できるだけ楽しく過ごせるよう、リハビリ担当者として今後もがんばってください!