増えつづける高齢の透析患者のためにリハビリを提供

増えつづける高齢の透析患者のためにリハビリを提供

新保
療養病棟のリハビリについて教えてください。
加賀
少し緊張していますが、よろしくお願いします!

各患者に寄り添うリハビリを実施する

新保:まず、療養病棟のリハビリの体制を教えてください。

加賀:はい。理学療法士が約7人、作業療法士が約3人、言語聴覚士は適宜、10人前後のリハビリ専門家が関わっています。当院の療養病棟は新棟内にあり、同じ棟内の「地域包括ケア病棟」や「透析センター」でのリハビリも担当しているという状況です。

新保:なるほど。リハビリの具体的な内容は?

加賀:療養病棟の患者さまは、以前は外来で週3回の人工透析を受けていた高齢者がほとんどです。透析通院や、自宅での生活が厳しくなったので入院したという患者さまが多く、なかには起き上がれない方もいます。さらに「運動が嫌い」という方が多いので、寝たきりになるリスクが高めです。

そこで、ご自身でトイレに行けるような「歩ける患者さま」には、歩行トレーニングを中心に行います。病棟内に設置している手すりや並行棒を利用し、可能な範囲で歩いていただきます。「歩けない患者さま」には、できるだけ体を起こしていただくように促します。そのような形で、病棟にて日常生活動作(ADL)の維持・向上を目指しています。

新保:急性期病棟や回復期病棟に比べて、療養病棟ではリハビリに時間的な制約があると思いますが、できる限り患者さまに関わっていくというスタンスですよね。

加賀:その通りです。「歩けるようになりたい」という気持ちがある患者さまには、自主トレーニングのメニューも用意します。さらに、全身の有酸素運動や筋力トレーニングを、高齢の方も安全に行える「ニューステップ」という訓練機があるので、そういった機器も活用しています。

リハビリに前向きになってもらえるとうれしい!

新保:印象に残っている出来事はありますか?

加賀:認知機能が低下し、会話が難しい80代の患者さまがいるのですが、編み物が趣味だったということで、お楽しみレベルのリハビリとして、編み物の道具や毛糸をお渡ししたところ、体が動きはじめました。その後、自分から「編み物をするために起きたい」と言ってくださるようになり、歩行のリハビリにも前向きになったように感じています。 ほかには、歩行のリハビリを拒否していた患者さまがいたのですが、コロナ禍のため病院の窓越しでお孫さんに再会した後に、「また孫に会いたい」という目的を持って歩行トレーニングを受けてくれるようになりました。その結果、無事退院できたので、私もうれしくなりました。

『興味・関心チェックシート』でニーズを把握

新保:お楽しみレベルのリハビリを行う場合、皆さんに趣味を伺うのですか?

加賀:厚生労働省が作成している『興味・関心チェックシート』を使用しています。そのシートには、さまざまな生活行為に関する質問項目があり、「一人でお風呂に入る」「自分で服を着る」などの基本的な生活動作のほか、「読書」「歌を歌う・カラオケ」「散歩」など趣味に関する質問も含まれています。

新保:それで各患者さまのADLや趣味を把握しているのですね。

加賀:はい。療養病棟では編み物のほか、大きめのビーズでアクセサリーを作るなど、楽しむタイプのリハビリも実施しています。また、畑仕事をしていた方や、それに興味がある方には、ベランダに設置したプランターで、春はチューリップなどの花、夏はトマト・キュウリ・ゴーヤなどの野菜を育てる活動も行っていますよ。

多職種・同法人の施設とも連携

新保:多職種と連携し、地域連携室との関わりもありますよね。

加賀:はい。例えば、療養病棟から透析センターへの送り出し・お迎えは看護師さんが行いますが、それに同行して歩行レベルの評価をすることもあります。地域連携室には、退院する患者さまとケアマネージャーさんをつないでいただいています。また、退院後に同法人の「介護老人保健施設 遊(ゆう)」に通われる方、「有料老人ホーム 憩(いこい)」に入居される方もいるので、その場合は各施設のリハビリ担当者と情報を共有します。

新保:療養病棟は患者さまの入れ替わりが比較的少ないので、アットホームな雰囲気だと聞いています。その一方、高齢の透析患者が9割以上という特殊な環境であり、さまざまな合併症のリスクが高い方ばかりという事実もありますよね。今後も高齢の透析患者は増えていくと思いますので、リハビリ専門家として頑張ってください!

RECRUIT

  • やりたいことがそこにある。
    なりたい自分がそこにいる。

  • 5年後の自分を、10年後の自分を想像できるか?
    今やるべきことを、しっかりと、一歩づつ。

  • 稼ぐためにではなく、
    学ぶために働く。

  • 欠点に目を背けるか、
    弱点を「強み」に変えるのか。

  • 失敗しない道を選ぶのか、
    失敗から何かを学べるか。