圏央所沢病院『療養病棟』の特徴とは?
2019年3月に新棟の3〜4階に40床ほど新規開設された、圏央所沢病院の療養病棟。同じ棟の1〜2階には透析センターがあります。同院は救急病院のため、一刻も早く高度な治療を必要とする患者、順調に回復している患者、さらに長期に渡る医療が必要な患者もいます。その中で、療養病棟は『病状が落ち着いた患者が入院する病棟』という役割を担っています。今回は、療養病棟について理解を深めたいと思っている理学療法士の新保さんが、同病棟の看護師長である杉田さんに、いろいろ質問しました。
透析患者に寄り添う療養病棟
新保:現在、療養病棟にはどのような患者さまが多いのでしょうか?
杉田:当院の療養病棟の患者さまは、約8割が人工透析を必要とされる高齢の方です。外出することなく週3回の透析を受けられる環境は、患者さまの日々の負担を軽減できるので、当病棟の大きな特徴になっています。
新保:そうですね。毎回4時間ほどかかる透析を受けるだけでも大変ですから、通院しなくてもよい環境は大きなメリットになりますね。 杉田:定期的な透析のみ必要な方であれば、至仁会の老人ホームや介護老人保健施設に入所されている方も通いやすいのですが、例えばマーゲンチューブ(胃管)を使用したり、中心静脈(心臓付近の静脈)から栄養を取る方には医療行為が必要なので、療養病棟が適切ということになります。通院や自宅でのケアが難しい患者さまに利用していただきたいのが、当院の療養病棟とも言えます
状況に合わせたリハビリも実施
新保:透析患者さまの服薬・血圧の管理、排便コントロール、シャント(※)のトラブル対応のほか、病棟でリハビリも行なっていると聞きました。やはりADL(日常生活動作)の低下を防ぐためですよね?
※シャントとは:透析のために、手術で動脈と静脈をつなげて作る「血液の流れが良いルート」のこと
杉田:高齢の患者さまが多いということは、リハビリが必要な患者さまが多いということになりますよね。可能な方には、理学療法士や作業療法士などのリバビリ専門職員と一緒に体を動かしてもらいます。また、患者さまが長い時間を過ごす場所でもあるので、明るい雰囲気づくりを心がけています。
新保:寝たきりという状態を避けたいですよね。先日も透析センターで、高齢の方は透析中に下半身の軽いリハビリを行なっていると伺いました。
杉田:もう一つお伝えしたいのは、「療養病棟は終の住処」というイメージを持っている方が結構いらっしゃるのですが、「それはちょっと違う」ということです。例えば、訪問看護を利用して自宅で過ごすために、手すりの取り付けや、寝室・トイレ・浴室などのリフォームが必要になり、その準備期間を療養病棟で過ごす方もいます。そういった観点からもリハビリは大切です。
ご相談の窓口は地域医療連携室
新保:当院の療養病棟についての理解が進みました。週3回の透析と、それ以外の医療的ケアも必要な方が入院を希望される場合、問い合わせ窓口はあるのでしょうか?
杉田:ご相談はまず地域医療連携室にお願いしています。現在も、ほかの病院で治療を受けていた患者さまが、治療ではなく長期的な医療的ケアと透析が必要になったということで、地域連携室に相談した結果、私たちの病棟に入院されています。
新保:地域医療連携室には医師・看護師・社会福祉士・リハビリ専門職員など多様なメンバーがいる上に、病床の状況も把握しているので、適切な対応をしてもらえるということですね。今日はいろいろ教えていただき、ありがとうございました!