至仁会が運営する介護と日本語の学校~「V&J Human Resource School」紹介~
2018年10月、至仁会がベトナムのビンディン省クイニョン市に開校した、介護と日本語の学校「V&J Human Resource School」をご紹介します。なぜ学校を設立したのでしょうか。その理由を経営企画室の加藤さんに伺いました。
介護職員として日本で働きたい方のための学校
―至仁会は「V&J Human Resource School(以下、Ⅴ&J)」と「所沢日本語学校」の2校を運営していますよね。どちらも介護と日本語を勉強するための学校だそうですが、設立された理由などを教えていただけますか?
はい。2030年あたりに、75歳以上の高齢者の人口がピークを迎えます。その一方、日本の総人口は減少し続けていますよね。現在の至仁会においては人材確保については対応できていますが、5年後、10年後の将来に目を向けた時に、介護職員を確保しにくい状況になるのは目に見えています。そのため、今のうちから外国人材の育成を進めようと考えました。
私には個人的にベトナムとつながりがありましたので、まずはベトナムで『介護と日本語を勉強できる学校』を開校しようという話になりました。また、こちらの都合だけを押し付けるような形は望んでいなかったので、どのような教育スタイルにするのかを事前に検討しました。
その結果、「日本での介護の仕事に興味を持っている18~24歳の方」をベトナム校「Ⅴ&J」で募り、面接を行い、6~8か月間少人数で介護と日本語の勉強をしてもらうことにしました。そこで日本の介護の仕事を理解した上で、その先を望む方には、至仁会が運営する「所沢日本語学校」に留学していただく形にしたのです。
日本式介護について、事前に知ってもらう
―日本の介護職とベトナムの介護職は違うということなのでしょうか?
そうなんです。ベトナムでは今も家族や親族でおじいちゃん・おばあちゃんの面倒をみるのが一般的なので、仕事として高齢者のお世話をすることはほぼないのです。しかし日本の介護職には、高齢者の身の回りのお世話が含まれているのです。
ベトナムの介護職の仕事と、日本式介護の違いを知らないベトナムの方が、日本に来てから「介護で高齢者の下のお世話までするとは聞いていない」となったら、それはお互いに不幸ですよね。そんな状況を未然に防ぐためにも、ベトナムにいる段階で日本の介護について基本的なことを知ってもらうことにしました。
そして、介護の仕事ではご利用者様とのコミュニケーションも重要なので、日本校は「所沢日本語学校」という語学メインの学校にしました。ちなみに、日本での勉強期間は1年6か月~2年となっています。
ベトナム・ビンディン省のクイニョン市はどんなところ?
―そうなんですね。少し話題を変えて、学校があるビンディン省のクイニョンについて少し教えてください。
はい。ベトナムは南北約1650キロメートルにおよぶS字型の国で、その南中部にあるビンディン省の省都がクイニョン市になります。ベトナム人にとっては港町のひとつであり、ビーチリゾートとして開発が進んでいるものの、まだ外国人観光客が多いエリアではないですね。
内陸側には田園風景がひろがり、漁業と農業が中心の町になりますが、最近は観光業も盛んになりつつある場所です。そしてクイニョンの市街地には、朝から晩までさまざまな屋台が入れ替わり立ち替わり並び、若い人たちも多く活気がありますよ。
―ベトナムの首都ハノイや経済の中心地ホーチミンに学校を設立しなかったのはなぜですか?
私がクイニョンにつながりがあったということ、そしてハノイやホーチミンのような大都市ではなく地方都市の方が落ち着いた雰囲気なので、アットホームな学校になるのではないかと考えたからです。
社会医療法人として「貢献」したいという想い
―ベトナム人学生のみなさんの授業料は無料である上に、卒業後の就職先として、至仁会以外の介護施設の仕事も紹介すると伺ったのですが、なぜでしょうか?
私たち至仁会は社会医療法人なので、社会貢献もすべきだと考えています。そのため、ベトナムの方が日本国内で介護職に就いてくれるのであれば、至仁会以外のどの施設でもかまわないのです。いずれにせよ、日本の介護人材不足を助けてくれる存在になりますから。
―そういう想いがあるのですね。今回は「所沢日本語学校」のお話や、実際に日本で活躍しているベトナム人介護職員さんのお話まで伺えなかったので、ぜひ次回お願いします!
2021年1月、圏央所沢病院にて。