重症患者が多いからこそ、明るい雰囲気の病棟に
急性期の多種多様な患者をケアする病棟
前号の至仁会通信では圏央所沢病院4階の急性期一般病棟、今号では5階の急性期一般病棟を紹介します。5階には、整形・消化器・泌尿器外科などの手術が必要な患者さんが多数入院しています。今回は同病棟の看護師長である田中さんにお話を伺いました。
―最初に、5階病棟の概要について教えてください。
―当病棟は50床あり、平均的に45人前後の患者さまが入院されています。患者さま7人に対して看護師1人という看護体制で、看護師と看護助手あわせて約40人が24時間のケアを行っています。
患者さまの入院期間は、短い方で1泊2日、長い方でも2〜3週間。術後は様子をみながら、体調次第で退院、または3階の回復期リハビリテーション病棟や、ご自宅近くのリハビリ専門の病院へ移っていただくことになります。急性期の病棟は、常に重症患者を受け入れられる体制を整えておくことも重要です。 さまざまな病気やけがをされた患者さまがいるのが当病棟の特徴ですね。4階は脳神経外科や心臓など循環器内科の患者さまがほとんどであるのに対して、整形外科、消化器や泌尿器、人工透析に関する手術が必要な方など、当院で対応できる急性期の患者さまが5階にいると思っていただければ。
整形外科の予定手術を受ける患者が多め
―なかでも、整形外科の術前・術後の患者さんが多いと聞きました。
―はい。年齢とともに骨や筋力は弱っていくので、圧迫骨折や脊椎の手術で入院する高齢の患者さまが多めです。骨粗しょう症の方は、つまずいて手をついたり、尻もちをついたりしただけでも骨折します。これまで、当病棟に入院して手術を受けた最高齢の方は100歳。術前には全身の検査を入念に行い、麻酔に耐えられるかなどもチェックしました。術後、体調が回復した時は、ほっとしました。
―毎日、手術を受ける方がいるのですよね。
―圏央所沢病院では、整形外科だけでも年間600件前後の手術が行われています。例えば今日は、当病棟の患者さま6人が、何らかの手術を受けました。そのため、平日は人の出入りが結構あります。一方、手術日を予定できる病気やけがの患者さまが多いという特徴もあるので、日曜日と祝日は静かですね。
コロナ禍で成長した若手看護師たち
―印象に残っている出来事はありますか?
―やはり、コロナ禍はいろいろありました。当院にはコロナ重症患者の治療に必要なエクモなどの人工呼吸器がなく、脳卒中センターには日々救急患者が運ばれてくる環境なのですが、県の要請により可能な範囲でコロナに感染した患者さまを受け入れていました。そして、第3波くらいまでは新棟にコロナ病棟を設置してできる限りの対応をしました。
コロナの治療に関しては中本院長が指揮をとり、私を含めた看護師が各病棟から少しずつ出向して、感染した患者さまの看護をしました。どうすべきなのか、情報が少ないなかで、若手の成長は目覚ましかったです。常に自分で考えて動くことが求められたので、その経験が今も院内各所で生きていると感じます。
現在、コロナもインフルエンザなどと同等の5類感染症になりましたが、コロナの患者さまが入院する場合は、5階の急性期一般病棟になることが多い状況です。今後もこの病棟には、さまざまな病気やけがの患者さまが入院して治療を受けることになります。看護師の知識の更新も欠かせないですね。
入院は「神様がくれた休暇」かもしれない!
―最後に、皆さまへお伝えしたいことはありますか?
―誰もが、大きな病気やけがで入院することを望んでいないと思います。一生、入院しないで過ごしたいものです。なかでも子育て中の方や、現役でバリバリ仕事をしている方などは「なんで私が今、入院しなければならないのか…」と病床で憤りを感じている方が少なくありません。
そういった方には「神様がくれた休暇だと思って過ごしてみては」とお声がけすることがあります。重症の患者さまには静養が必要であり、イライラしても体調は良くなりません。簡単なことではないのですが、病棟内が少しでも明るい雰囲気になるように、今後もコミュニケーションを大切にしていきたいと思います。
―本日はいろいろお話しいただき、ありがとうございました。
2023年9月、圏央所沢病院にて。