多種多様な医療機器の操作や管理を担うスペシャリスト
圏央所沢病院・ME科のご紹介です。
MEは「メディカル・エンジニアリング」「メディカル・エンジニア」の略称で、臨床工学およびその技士を意味します。今回は同科の技士長で、コメディカル部の副部長でもある志賀さんにお話しいただきました。
医療機器の専門家であるMEの仕事
―ME(臨床工学技士)について、簡単に教えてください。
MEになるには、専門学校や大学で3〜4年学び、臨床工学技士国家試験に合格すると、その資格が得られます。MEは医療機器に関する幅広い知識を持ち、チーム医療の一員としてさまざまな仕事をしています。その内容は病院やクリニック、医療機器メーカーなど、どこに所属するのかによって大きく異なりますね。
―圏央所沢病院のMEの主な仕事は?
現在、当院のME科には25人のMEがいて、大きく分けて6種類の業務を担当しています。そのなかで一番比率が高いのは、人工透析関係の仕事。透析は、主に腎不全の患者さまの血液から老廃物や余分な水分を取り除くために行う治療です。
また「ME機器管理業務」として、院内の医療機器を操作・保守・管理しています。具体的には、医療機器を安全に使用できるように点検やオーバーホールなどを行うほか、看護師への勉強会も開催しています。さらに、人工呼吸器管理業務、高気圧酸素業務、心臓ペースメーカー業務、心臓カテーテル検査業務も段階的に覚えていきます。
―①人工透析 ②ME機器管理 ③人工呼吸器 ④高気圧酸素治療装置 ⑤心臓ペースメーカー ⑥心臓カテーテル検査、という6つの業務に分けられるということですね。
はい。透析業務を中心にローテーションを組んでいます。臨床工学技士が携わることができる業務は7種類ほどありますが、当院ではそのうち6種類の業務に携わることができます。
透析を中心に多様な業務に携わる
―次に、ME科のキャリアパスを教えてください。
最初の1年は、3年以上当院に勤めている先輩によるマンツーマン指導のもと、集中して透析業務や技術などを学んでいただき、医療に関する知識も深めていきます。当院のMEは患者さまに接し、臨床面にも深く関わります。そういった経験を積むことにより「透析のスペシャリスト」を目指します。
2年目になると、ME機器管理業務や人工呼吸器業務、高気圧酸素治療装置業務が加わり、それぞれ現場で先輩に教わります。機器によっては、メーカー主催の保守管理研修を受講し、専門的な知識を得て、認定を受けてから業務に就くことも多いです。
4年目あたりから、医療知識や経験がより必要となる心臓ペースメーカーや心臓カテーテル検査業務にも携わります。そして5年ほど経過すると、圏央所沢病院のME業務を一通りこなせるようになります。
もっと向上心が高まる職場にしていく
―キャリアパス以外にも、同科の特徴はありますか?
透析センターおよびME科内の、チーム運用だと思います。透析用のベッド数は、過去15年間で18床から78床に増床しました。患者さまやスタッフが増えていくなかで、透析治療に関する課題が次々とでてきたので、スタッフ教育にも力を入れる必要がありました。
そこで、高齢透析対策チーム、運動療法チーム、フットケアチームなど、テーマごとにチームを作り、スタッフ個々の能力と運用力の向上を目指し、透析治療の質を高めています。ちなみに、各チームはMEと看護師で構成されており、そのほかのコメディカル部スタッフにも協力していただいてます。
―それでは最後に、今後の展望などをお願いします。
今後、透析センターのベッド数は112床まで増床する予定です。そのため、MEの人数も増える予定で、後進の育成に一層力を入れることになります。現在もカリキュラムを作成して新人教育を行っていますが、教育チームが中心となりその内容をより充実させ、ME科全体で成長していきたいと思います。
また、当院MEの業務の幅は広く、若いうちからやりがいのある仕事にチャレンジできる環境だと言えるでしょう。与えられた仕事をこなすだけでなく、若手も発言しやすく、向上心やモチベーションがより高まるような職場風土にしていきたいと考えています。
―なるほど。本日はいろいろお話いただき、ありがとうございました!
2023年2月、圏央所沢病院・透析センターにて。