心臓画像診断や剣道で培った「目」を生かす!
今回は、2023年9月から圏央所沢病院に勤務されている佐藤万基人(さとう・まきと)先生のご紹介です。循環器内科および内科を担当されています。どのような先生なのでしょうか?
臨床に戻り、患者さんと向き合う
―まず、圏央所沢病院に来られたきっかけは?
―当院を知るきっかけになったのは、脳卒中センターの副センター長である熊谷先生が義理の兄だからです。義兄から当院の話を聞いておりましたが、実際に見学して、加藤理事長や中本院長とお話しする機会があり、こちらで仕事をしたいと思いました。
ー現時点での印象はいかがですか?
―まだ5か月目なのですが、働きやすい環境だと感じています。スタッフが能動的に仕事をしている印象で、誰もが思ったことを言いやすく風通しのよい職場です。後ほどお話ししますが、当院の前に勤めていたクリニックでは心臓の画像診断を行っていたので、臨床は初心にかえります。
心臓や血管のスペシャリスト
ーつぎに、先生ご自身のことを教えてください。
―はい。私は、世界遺産の「富岡製糸場」で知られる群馬県富岡市の出身です。小・中学校は地元の学校、高校は県立高崎高校を卒業しました。実家から高校までは15キロ以上あったのですが、体を動かすことが好きなので自転車で通いました。
ー往復30キロ強を自転車通学とはすごいですね。
―そのためか、大学に入学する頃の体脂肪率は8%くらいでした。また高校では、友人に誘われて百人一首同好会に所属。大人になってからは百人一首の和歌に思いをはせるようになりましたが、当時はどちらかと言えば競技かるたとしての魅力が大きく、近江神宮の「全国高等学校かるた選手権大会」にも参加しました。
ーそうなんですね。医学部を目指したきっかけは?
―人の命に関心があったので、筑波大学で医学を勉強して医師になりました。高校2年の時に実家の富岡から自転車で一人旅がしてみたくなり、120キロほどあったものの道が比較的平坦だったので、茨城県つくば市まで行ったんです。そして、筑波研究学園都市の素朴な雰囲気に好感を持ちました。
ー循環器内科に進まれた経緯などを伺えますか?
―2007年から群馬大学医学部付属病院や関連病院で初期研修をスタートし、循環器内科の先生たちのキビキビとした仕事ぶりに憧れて、そちらの方向に進みました。そして2014年からは、同大学病院で心臓核医学(放射性の医薬品を用いて心臓の動きを撮影して調べる医療)の研究チームに所属して専門性を深めました。
近年はCTやMRIの進化が目覚ましく、心臓の画像診断の知見を広げたいという思いもあり、2016年から心臓画像クリニック飯田橋で研修。2018年から同クリニックの医師として約5年間勤務しました。そこで心臓ドックを含め5千件ほどの心臓MRI診断を行ったので、目が養われたと感じています。
学生時代から剣道に勤しむ
―さらに、現在の趣味などは?
―中学生の時に剣道を始め、中断している時期もありますが、最近は小学1年の息子と一緒に剣道クラブに通っています。学生の頃は試合で勝つことに熱心でしたが、今は精神的に学ぶところが大きく、医師の仕事にも通じるものがあると思うのです。
剣道で大事な要素は「一眼二足三胆四力(いちがんにそくさんたんしりき)」。第一に相手や状況を見る「眼」、第二は「足」さばきで準備にあたります。第三は「胆」で思い切り打ち切るという強い気持ち、第四が「力」で技術や腕力などは一番最後なのですね。
最近とても興味があるのは世界史です。本だけでなく、配信動画などでも世界史に触れるものをよく見ます。また、旅行も好きです。学会で訪れたバルセロナ(スペイン)や、比較的最近旅したプラハ(チェコ)の建物や雰囲気はとても印象に残っています。
病気の早期発見にも尽力したい
―それでは最後に、今後の目標などをお願いします。
―経験を生かしつつ、患者さん一人ひとりにしっかりと向き合っていきます。例えば、血圧やコレステロール値が高いのに症状がない方には血管病が隠れていることがあるので、見逃さず治療につなげたい。また、お薬をたくさん飲まれている高齢の方は合併症のリスクも考えられるため、エビデンスだけにとらわれず柔軟に対応したい、などです。
急性期の病院では、どうしても目前の患者さんの対応に追われがちですが、地域のクリニックの先生とも協同して、病気を早期発見して重症化させない取り組みもしていきたいです。ほかにもいろいろあるのですが、すべて私ひとりでできることではないので、チームで進めていければ幸いです。
―本日はいろいろお話いただき、ありがとうございました。
2024年1月、圏央所沢病院にて。