安心して療養できる病棟であるために、丁寧な対応は不可欠
長期にわたり医療的ケアを必要とする患者さんが入院している療養病棟。今回は圏央所沢病院の同病棟について、そこで看護師長を務める杉田さんにお話を伺いました。どのような病棟なのでしょうか。
透析患者さんが多めの療養病棟
―圏央所沢病院の療養病棟は、2019年3月に開設されたのですよね。
―はい。現在、療養病棟は新棟の4階にあり、同じ棟の1、2階に透析センターがあります。そして、私たちの病棟に入院している約8割の患者さまは週3回の人工透析を必要とする方です。一般的な療養病棟に比べ、透析患者さまの比率が高いということが、当院の特徴になります。
また、病床が47床にまで増床しているため、さまざまな症状の患者さまが増えました。療養病棟の性質上、症状が比較的落ち着いている長期入院の患者さまが多いものの、脳神経外科や循環器内科の患者さまは、出入りが多少ありますね。その出入りに関しては、各病棟、地域連携室のスタッフと協同しています。
―注力していることはありますか?
―患者さまのご家族から「医師や看護師の対応が丁寧で安心できる」とおほめいただくことがあります。そう感じていただけるのであれば何よりです。そして、当然のことではありますが、患者さまの清潔さを保つよう心がけています。例えば、横たわったまま湯につかることができる入浴施設などを活用して、週2回の入浴を実施しています。
長期間の入院が前提の看護
―そうなんですね。つぎに看護体制について教えてください。
―当病棟には私を含め21人の看護師と12人の看護助手が所属しており、そのほかバイトの学生さんも数名いて、患者さまのケアを担当しています。そのほか、各患者さまを担当する医師、リハビリテーション担当の専門職員、薬剤師など多職種のスタッフが病棟の運営に関わっています。
―療養病棟での看護の特徴は?
―これは看護師1、2年生によく伝えることでもありますが、私たちの病棟の患者さまは、長い目でみてケアしなければならないということです。急性期や回復期の病棟では、患者さまのちょっとした変化も医師に報告して、指示のもと早急な処置が求められることがあります。療養病棟では、異変ではない場合も多々ありますので、そこを見極めて医師に報告したり、対応したりします。
そういったことから、当病棟での看護には経験値や判断力が必要と言えます。とはいえ、ほかの病棟同様、若手の看護師には2〜4人のベテラン看護師が付くエルダー制度をとっていますので、その点は患者さまもご家族の方も安心してください。夜間など人数が少ない時間帯の看護は、判断できる力がついた看護師が常駐しています。
―なるほど。よく行う処置などはありますか?
―透析患者さまのシャント(手術で動脈と静脈をつなげて作る、血液の流れが良いルート)を作った時の創部ケア、CVC(中心静脈栄養ルート)の消毒、透析用長期留置カテーテル挿入部の管理、創部の処置などを定期的、または必要に応じて行っています。
患者さんへの尊敬の念を大切に
―療養病棟の看護で感じることを教えてください。
―高齢の患者さまが多い病棟では、そこで人生の最後を迎える方が少なくないという事実があります。そのため、患者さまの容体が急変した時などは、ご家族に看取っていただけるよう迅速に対応しています。また、ご家族が看取りに立ち会えるよう最大限の努力をします。
ほかの病棟では「病気が治りました。お世話になりました」「ケガが治りました。ありがとう」とお礼を言われることがあり、それが私たちの仕事のやりがいにつながるのですが、療養病棟では「最後まで面倒をみてくださり、ありがとうございました」と患者さまのご家族に感謝されることがあります。
私たちにとって、療養病棟のほとんどの患者さまは人生の先輩です。今後も尊敬の念を持ってケアします。
―本日はいろいろお話しいただき、ありがとうございました。
2024年3月、圏央所沢病院にて。