地域密着型の訪問看護による医療ケアを!
至仁会グループのひとつである「よしかわ訪問看護ステーション 歩(あゆみ)」のご紹介です。その名の通り、在宅での医療を支援してくれる訪問看護サービスになります。今回は同事業所の管理者である野口さんにお話を伺いました。
さまざまな医療ケアを在宅で
―まず「歩」について教えてください。
はい。当ステーションは2010年4月にスタートし、今年で12年目になります。当初は訪問リハビリのサービスも一緒だったのですが、圏央所沢病院・脳卒中センターの患者さんが増え、退院後の在宅リハビリの需要が高まったこともあり、2012年に訪問看護と訪問リハビリは別々になりました。現在、正看護師3人、事務員1人で運営しています。
所沢エリア内をみても、この十数年で訪問看護ステーション数は4倍ほどに増えており、在宅医療の必要性を感じています。また、各ステーションには専門性があり、私たちは圏央所沢病院やよしかわクリニックにはない診療科、例えば小児科の患者さんに関しては、ほかのステーションにお願いするなど地域的な連携も図っています。
私たちの拠点は、よしかわクリニックの向かいにある若狭薬局の2階です。基本的に病院やクリニックの中ではなく、患者さんのご自宅を訪問して医師の診断に沿った医療ケアを行っています。患者さんの担当医のほか、薬剤師とも連携してさまざまなサービスを提供していますので、以下に主なものを挙げてみますね。
■患者さん退院時の準備
■病状の観察・健康管理
■医師の指示による注射・点滴など
■床ずれの予防と処置
■認知症や難病障害の看護
そのほか、ストマケア(人工肛門や人工膀胱などのケア)、吸引器・在宅酸素・人工呼吸器・輸液ポンプ・カテーテル類(尿道カテーテル・胃ろう)など医療機器の管理も行います。
患者さんとご家族の不安に寄り添う
―「歩」の特徴を教えていただけますか?
至仁会関連の病院や施設を利用されていた方が、訪問看護を受けたいということで利用されるケースが多くなっています。その際、診療は病院へ通っていただき、私たち看護師は患者さんのご自宅で行う医療ケアを担当します。もちろん、地域の訪問医と一緒に在宅医療に関わるケースもあります。
患者さんの容体はいつ急変するのか分からないので、訪問看護サービスは、24時間・365日対応可能です。夜間などは、まず電話で様子を伺ってから、看護師がご自宅へ伺う場合もありますし、救急車を呼んでいただく場合もあります。いつも接している看護師と電話で話すことで、落ち着いて行動できるようになる患者さんやご家族の方もいらっしゃいます。
―ご家族の方との関わりも重要ですね。
そのほか、認知症のご相談にのったり、心のケアをしたり、「ターミナルケア」と呼ばれるがん末期・終末期を自宅で過ごされる方のお手伝いもします。
一昔前は病院で亡くなる方が多かったのですが、近年はご自宅で最期を迎える方が増えています。その場合、看取る方にはやはり覚悟が必要ですし、大切な人が苦しんでいるのを見るのは辛いこと。看取る方に寄り添うのも、訪問看護師の重要な役割です。
訪問看護師は、家庭の事情も理解していることが多いので、大きな信頼をいただいています。その上に担当医や薬剤師との信頼関係もありますので、大きな判断をすることもあり、人の命に関わる仕事をしているのだと実感します。
また、訪問先では院内とは違う緊張感があり、看護師としての視野が広がります。知識や技術的なものだけでなく、人間性も求められますね。
迷っている方は、ご相談ください
―最後に読者の方へメッセージをお願いします。
私には「親を看取りたい」という気持ちがあって、看護師になったという経緯があります。訪問看護師は、何よりも患者さんのケアを重視しています。通院が必要であっても、住み慣れた家で自分らしく生きたい、看護を受けたいという方のお気持ちを大切にしますので、お気軽にご相談ください。
また、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年以降は、より多くの訪問看護師が必要です。最近の看護学校では、以前よりも訪問看護に関するカリキュラムが充実していて、若い看護師さんにも知識があります。もちろん、ベテランの訪問看護師がサポートしますので、この仕事に興味ある方もご連絡ください。
―本日はいろいろお話いただきありがとうございました!
2022年4月、圏央所沢病院にて。