圏央所沢病院の「透析リハビリテーション」とは

圏央所沢病院の「透析リハビリテーション」とは

新保
透析リハについて教えてください!
中村
はい、何でも聞いてください!

人工透析中に行う運動療法

新保:透析リハについて簡単に教えてください。

中村:はい。週3回の透析を受ける患者さまは、腎臓の機能が低下している方々です。透析リハは、運動療法・食事療法や水分管理・薬物療法・教育や心理サポートなどを包括的かつ長期にわたり実施する「腎臓リハビリテーション」の一環であり、透析中に行う運動療法になります。

透析リハの対象となる方は、当センターで使用しているフレイル・チェックで「足腰が弱っている」と判断された、主に高齢の透析患者さまです。もちろん、足腰が弱っていなくても、透析リハを希望される皆さまの参加を歓迎しています。

新保:当院で透析リハが導入されたのはいつごろですか?

中村:私が当センターに来る前から導入されており、5年以上経過していますね。最初は、透析を受けるベッド上で下半身のトレーニングを行う1対1のリハビリだったのですが、2022年の7月からは、1グループ4人ほどの集団リハビリという形になっています。現在の実施回数は、1人当たり週1回程度ですね。

どのようなリハビリなのか?

新保:透析リハの流れを教えてください。

中村:透析が始まり、30〜60分経過してからリハをスタートします。まずは、患者さまのバイタルを確認して、下半身のストレッチや軽い筋トレを5〜10分行います。つぎに、エルゴメーター(固定式で自転車のペダルを回転させるトレーニング機器)でのトレーニングを、お一人おひとりの体力に合わせて10分程度続けていただきます。最後にクールダウン、血圧の測定を行って終了です。

新保:中村さんは腎臓リハビリテーションに関する研修を受けていますよね。透析リハの際、気を付けていることはありますか?

中村:最も気を付けているのは、やはり血圧です。トレーニング中も血圧を測定し、心臓に負荷がかかり過ぎないように注意しています。さらに、パルスオキシメーターを使用して指先で経皮的酸素飽和度(SpO2)を測定するなど、医療的なチェックも行っています。また、透析室はとても静かなので、リハを受けていない患者さまのためにも、準備運動のメニューなどは紙に書いてお渡しします。

透析リハの効果を期待

新保:透析リハの効果は、いかがですか?

中村:透析を受けている方の体力は、同年代の健康な方の約60%と言われています。そういった事情もあるので、リハビリで体力が向上すればベストですが、現状維持を成果としているのが現実です。また、透析リハにより透析効果の改善が期待でき、心疾患や脳梗塞の予防になるとの報告もあります。

新保:なるほど。透析リハのやりがいは?

中村:エルゴメーターのペダルを回せないほど足腰が弱っている透析患者さまが、透析リハを続けることによってペダルを回せるようになり、トレーニングに前向きになってくれると、私たちリハビリ担当者もうれしくなりますね。

『リハビリ手帳』でモチベーションアップ

新保:今後の目標などあれば、教えてください。

中村:透析患者さまは、腎機能が低下する前から運動量が少ないという特徴があります。私たちは、透析リハのトレーニングだけでなく、透析を受けない日も運動してもらえるような仕組みを作りたいと試行錯誤中です。なぜなら、透析患者さまの健康に関わる問題だからです。しかし「透析に来ない日は1日4000歩くらい歩いてくださいね」とお伝えしても、実行に移してもらうのが難しいところ。

そこで実験的に、透析リハを受けている半分くらいの方に「リハビリ手帳」というものを配布しはじめました。その手帳には、スクワットなど家で簡単かつ効果的に行えるトレーニング方法が掲載されているほか、トレーニングを行ったかどうかのチェック欄があり、リハビリ担当者がそれに対してコメントを記入します。

新保:皆さんのモチベーションは上がっていますか?

中村:はい!ご自宅での運動に取り組んでくれる方が増えているように感じます。さらに、来年度からスタッフが増え、週2〜3回の透析リハを受けていただけるようになります。透析患者さまは、活動量低下による筋力低下に加えて、心疾患や脳卒中リスクがとても高いので、その予防策として透析リハやご自宅での運動量を増やしていくことが当面の目標です。

RECRUIT

  • やりたいことがそこにある。
    なりたい自分がそこにいる。

  • 5年後の自分を、10年後の自分を想像できるか?
    今やるべきことを、しっかりと、一歩づつ。

  • 稼ぐためにではなく、
    学ぶために働く。

  • 欠点に目を背けるか、
    弱点を「強み」に変えるのか。

  • 失敗しない道を選ぶのか、
    失敗から何かを学べるか。