介護スタッフの育成に特化した日本語学校
日本で介護職に就きたい外国人に、日本語の教育を行う所沢日本語学校。2020年10月に開校し、至仁会通信18号でもご紹介しましたが、コロナ禍で多くの学生が来日できない状況が続きました。ようやく、2022年4月に34名の留学生を迎えることができ、10月には30名ほどの留学生を予定しています。そこで改めて、経営理事の加藤さんに同校についてご紹介いただきます。
地域で活躍する介護従事者の育成
社会医療法人至仁会は、超高齢化社会で人材が不足する介護施設で活躍できる人材育成を目的に、日本で介護スタッフとして働くことを希望する海外の若者のための日本語学校を設立しました。介護職にはコミュニケーションが不可欠であり、まずは働くために必要な「言葉」を習得していただきたいからです。
また、当法人は社会医療法人であり、地域社会のためになる公的な事業を行うべきと考えています。そのため、外国人介護スタッフの育成は、至仁会が運営する介護施設や病院の人材集めが主たる目的ではありません。当校の卒業生を温かく迎えてくれる介護職場と学生のマッチングも積極的に行います。
至仁会の「奨学金制度」について
現在、本校に留学しているすべての学生が、至仁会の設立した「奨学金制度」を利用して日本に留学しています。ご存じのように、日本に留学するには多額の留学費用が必要です。その費用を準備できない若者は、日本で介護スタッフとして働きたくても、それを実現することができません。
至仁会では、経済的な理由により日本への留学をあきらめることがないように、日本で介護職に就きたいという若者に対して、奨学金制度を作りました。
夢に向かって躍進する学生たち
本校の学生は、現時点では全員ベトナム人です。ベトナムは経済的にも成長著しい国であり、その原動力となっているのは、同国の人口構成の多くを占める若者たちです。そういった理由から、至仁会では、まずベトナムから人材を募ろうと決めました。
来日後、学生は本校で1日4時間ほど日本語の勉強をしながら、週28時間以内で、病院や介護施設で介護のアルバイトもします。はじめのうちは日本語を上手に話せないので、日本人スタッフや、先輩のベトナム人介護スタッフのサポートを受けながら、介護の現場で活躍しています。将来、このアルバイト経験も、介護スタッフになるための大事な経験になると考えています。
学生と就職先とのマッチング
本校の卒業後の進路については、介護の専門学校へ進学する学生と、介護現場に就職する(特定技能ビザ)学生に分かれますが、本校では、全ての学生に対して在学中に就職先となる介護施設とのマッチング(紹介)を行います。
また就職希望の学生に対して就職先の介護施設を紹介するだけでなく、学生を採用していただける介護施設に対しても、必要な場合は登録支援業務や、さらにその後の「登録支援業務の内製化」(特定技能ビザ労働者の直接雇用)ができるまでサポートします。
親身になって学生をサポート
外国人介護スタッフの紹介会社から人材を紹介してもらう場合、介護施設側は紹介料を支払います。一方、本校は学内の就職課として、他法人の介護施設を学生に紹介しますので、就職先の介護施設は紹介料なしでスタッフを採用できます。
ただし、特定技能ビザで介護スタッフとして働く外国人を受け入れるためには、受け入れる側の介護施設にも一定の要件が必要となります。介護事業者だけでなく、一部の企業が外国人労働者(技能実習生)に対して不適切な雇用管理を行っていることが、残念なニュースとして報道されているので、ご存じの方も多いと思います。
本校は、事前にしっかりと施設見学や担当者にヒアリングを行ない、「本校の学生が安心して働けること」を確認した上で、就職先として学生に紹介します。
当法人がまずベトナムに日本語学校を設立したのは2018年でした。あれから4年経過しましたが、その間に外務省による特定技能ビザの新設や、新型コロナ感染症のパンデミックなど、日本と世界を取り巻く環境にはさまざまな変化がありました。
2018年に当法人で勤務する外国人介護スタッフの数は1名でした。2022年現在は、アルバイトの数も含めると約60人の外国人介護スタッフが当法人で活躍しています。すでに彼らは、なくてはならない存在です。高齢化がますます進む日本社会にとって、日本で介護スタッフになることを志ざして留学する若者は、とても貴重と言えます。
本校の学生は、全員が日本に対して憧れや、将来の夢をもって、来日しています。私たち日本語学校に関わる職員一同、および至仁会の職場で彼らに関わる職員一同が、彼らの日々の生活もサポートし、介護スタッフとして着実に成長できるよう努めてまいります。<経営理事・加藤>