プログラミングも得意な透析専門医

プログラミングも得意な透析専門医

今回は圏央所沢病院の透析センター長(兼 副院長)である大前清嗣(おおまえ・きよつぐ)先生の紹介です。2023年4月から同センターで、主に火・木・土曜日の透析患者さんを診療しています。先生の趣味や特技のお話も伺いました。

真剣に漫画家を目指していた!

―出身地や子どもの頃について教えてください。

―はい、私は広島県出身です。かつて「人口日本一の町」だった五日市町(現・広島市佐伯区)や三原市で育ちました。比較的大人しく、図鑑や百科事典が好きな子どもでしたね。小学1年の時には親にカエルの解剖セットを買ってもらい捕まえたカエルを解剖したり、中学校では科学部で実験などをしていたのですが、実は学校の勉強は苦手でした。

―得意だったものはなんでしょう?

―小学5年から10年ほど、イラストや漫画を描くことに熱中していました。高校は隣町の公立廿日市高校に通っていましたが、その間、本気で漫画家になりたいと思っていました。手塚治虫さんの漫画などに影響を受け、漫画雑誌の新人賞やコンテストにも応募していました。

高校卒業後は県内の大学、医学部ではなく私大の法学部に入学しました。大学3年までは引き続き漫画家を目指しており、SF推理小説研究会に入って小説も書いていました。小学生の時にM・ルブランの推理小説「アルセーヌ・ルパン」シリーズが大好きになって以降、絵も好きでしたが緻密なストーリーも面白いと思っていました。 そのほか、私が大学生の頃にPCが一般の家庭にも普及しはじめたので、プログラミングにはまっていました。父は開業医だったこともあり、私が作成した「薬の在庫管理プログラム」を実際に病院で使ってくれました。

大学の法学部卒業後、改めて医学部へ

ー医師を目指したのはお父さんの影響ですか?

ー大学の3年の時に身内が目の前で危篤になり、何もできず無力感を覚えたことが医師を目指すきっかけです。法学部卒業後、すぐに医学部受験の予備校に通いました。数学が不得意で苦労したのですが、1日5時間睡眠で勉強に取り組んだので、翌年に宮崎医科大学に合格。集中力に関しては、漫画で鍛えられたかもしれません(笑)

医学部に入学して3年ほどは、幅広く学んで総合内科医になりたいと考えていました。私が大学4年の頃に、心不全の治療で禁忌だったβ遮断薬の有効性が認知され始めたことを知り、パラダイムシフトが起こっていると感じて循環器内科のほうに興味が傾いていきました。

―研修医時代はどちらの病院にいたのですか?

―心臓病治療で有名だった、東京女子医科大学病院 心臓血圧研究所の内科研修医になりました。まず2年間、さまざまな科で経験を積み、循環器内科医を目指していました。一般的な心不全の治療に反応しない患者さんの中には、体外循環を利用して除水し、透析科で血液透析を行うと劇的によくなる方がいて、透析に興味を持つようになりました。

また、腎臓内科を回っているときに、腎臓の病気が疑われる場合に行う腎生検(顕微鏡を用いて検査するために、腎臓の小片を体から取り出す医療処置)にも関心を持ち、最終的には透析医学と総合内科の専門医に。そして、同医大の関連病院で130人ほどの透析患者さんを診るようになり、さらに後進の医師の指導なども任されるようになりました。

ー息抜きにしていることはありますか?

ー今でもプログラミングが趣味です。以前の勤務先でも、100人を超える患者さんの情報を管理するために、自作のデータベース管理ソフトを使用していました。そのほか、家族旅行も楽しんでいます。最近は子ども2人の受験などがあり、あまり遠くへ行けないのですが、ベトナムのハロン湾クルーズで見た夜明けの景色は美しかったですね。

腎臓も「沈黙の臓器」のひとつ

―それでは最後に、今後の目標などをお願いします。

―当院の透析センターのスタッフは向上心があり、私も非常に働きやすい環境です。今後、特に若いスタッフには透析医学会で日々の取り組みについて発表してもらい、外部の人からの評価を受けてほしいです。それにより、モチベーションがより上がると思います。

日本の人工透析は発達しており、日々の体調管理をしていただければ寿命をまっとうできる時代ですが、透析が必要になる前に薬を使って腎機能の悪化を防げます。健康診断の尿検査や血液検査などで、腎機能に問題があれば迷わず病院に来てください。尿蛋白が2+(プラス)以上出ている方は放置しておくと危険。自覚症状が現れるときはすでに悪くなっている時です。早めの治療をおすすめします。

―本日はいろいろお話いただき、ありがとうございました。

2024年7月、圏央所沢病院にて。

RECRUIT

  • やりたいことがそこにある。
    なりたい自分がそこにいる。

  • 5年後の自分を、10年後の自分を想像できるか?
    今やるべきことを、しっかりと、一歩づつ。

  • 稼ぐためにではなく、
    学ぶために働く。

  • 欠点に目を背けるか、
    弱点を「強み」に変えるのか。

  • 失敗しない道を選ぶのか、
    失敗から何かを学べるか。